恒例の正月一人旅初日

【10:12 倉敷へ向かう電車】

京都から西向きの新幹線に乗ったのはいつ振りだろうか。
残っている記憶を辿った限りでは、高校2年生の就学旅行で乗った以来。
何も考えず、漠然とした夢くらいしか持ち合わせてなかった11年前のこと。
今はどうだろうか。

昨日行った鈴虫寺の説法に気付かされたものがあった。
願いが一つだけ適えてくれると言われているお地蔵さんがいる。
鈴虫の音をバックに住職さんが教えてくれるお願いごとをする際の注意事項の一つ。

 お願いの仕方を間違ってはいけない。
 
 例えばこんな願いは適わない。
 
 「良い結婚ができますように。」
 
 と、相手や恋人もいない人が願うこと。
 
 そんな人はまずはこう願わなければいけない。
 
 「自分にふさわしい良い人に巡り合えますように。」
 
 そして、結婚はその次に願えばよいわけ。

今の自分にとって、色恋や結婚の願いなどは関係なく、願いは転職。
自分の願望については、運良く昨年に振り返る機会を設ける事ができた。
そして、それを実行に移すための会社を頭の中で取捨選択しているわけだ。
そのキーポイントは何か。少し見失っていたのかもしれない。
鈴虫寺のお地蔵さんにはこのように願っておいた。

 「どうか自分にふさわしい会社に巡り会えますように。」
 
 
今やるべき事をハッキリさせる事ができた気がする。
これで心置きなく旅行を楽しめる。

ちなみに、今の彼女が自分にとってふさわしい相手だとは思っている。
今年中には将来像を見極めて、決めようと思う。


【15:51 広島行き】

倉敷観光は約2時間で充分だった。
ソフトバンクショップに預けた携帯電話の充電が完了するのを
計算していたかのような地区の広さだ。

伝統と縛りの中で守られた白壁の蔵が一本の川を囲むように軒を連ねる。
最も古いのは徳川8代目吉宗の時代のものを残しているという。
しかし、この小地区は数百メートル四方にも満たないかもしれない。
それらを何とか活かして、観光客相手に商売して生計を営む地域住民と、
少なすぎるが故に全てに反応する家族連れの観光客。
いいカラクリなのかもしれない。

この美観地区の隅にアイビースクエアと名付けられている一角があった。
江戸時代から文明開化が進んだ建物で構成され、中央に四角形の広場。
まさに、スクエア。そんな広場で群集に混じって思わぬものを見物できた。

倉敷天領太鼓
 
大小様々な太鼓と数個の鳴り物を交えて、迫力ある音を奏でていた。
老若男女で構成された8名程度のグループで、親戚などある程度近い範囲で
伝統を受け継ぎ守っているように見受けられた。

リズムや呼吸を合わせられた爆音は素人には完璧に思えた。
正月の寒空の中、羽織を脱いで上半身が裸も同然の格好であるにも関わらず、
無呼吸運動で顔を真っ赤にしながら、素早く力こぶしが出来た腕を振り続ける。
パートが空いた仲間は、リズムに合わせた大声でを奏者を振るい立たせたり、
一糸乱れず次の演奏の準備をスムーズに完了させる。
中でも一番幼いと思われる中学生くらいの少年が高音や笛で全演奏に絡み、
最も目立っていた。
演奏も含めて、全てをこの日の為に血と汗と涙の練習を続けているのだろう。
そう何十年間も。もしかすると何百年間なのかもしれない。
そんな裏側を勝手に想像するだけで、鳥肌が立ってしまうくらいだった。

体の芯を震わす太鼓の音で足を止めた見物客はみるみる増えていった。
一時間ほどだろうか、最後の演奏が終わった後の拍手の重みは、
今まで聞いていた太鼓の音くらい心に響いたかもしれない。

綺麗に伝統の残された環境の中で、懸命に伝統守り続ける人たちが、
伝統を残す事の大切さと、その意味を強く叩きこんでいた。

さて、俺は何を残す事ができるのだろうか。

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